溺愛CEOといきなり新婚生活!?

 昨日来た銀座の街を走り抜け、東京タワーを眺める。

 最初は早く終わってほしいって思ってたのに、今日でサンプリングマリッジが終わると思うと、なんだか寂しくなってしまった。
 これからも永井さんと暮らせるとしても、今日までの三ヶ月が本当に特別過ぎたから、明日になったら夢のように消えてしまいそうで……。
 それほどに幸せな日々だったと思える。



「到着いたしました」

 九条さんが、後部座席の私を丁寧に下ろしてくれた。


「ここは、どこですか? 永井さんはどちらに?」

 目の前は木々の深緑に阻まれ、その先に何があるのか見当もつかない。
 周囲の景色を見渡しても、土地勘のない場所では何もヒントが見つけられなかった。


「その石畳を進んでいただければわかります。お帰りまでお待ちしております」

 そっと背中を押してくれた九条さんに会釈をして、何が待ち受けているのかと小さく一歩を踏み出す。
 買ってもらったばかりのバッグを手に、転ばないように慎重に歩みを進めれば、木々の先に美術館のような建物が見えた。


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