溺愛CEOといきなり新婚生活!?
「緊張しなくていいよ。贔屓にしてる店だから、基本いつでも席を空けてくれる」
「永井さんと一緒に私がいたら、恥をかかせてしまいませんか?」
「まさか。上遠野さんのようなかわいらしい女性が隣にいたら、周りの目を引いてしまうことはあっても、恥をかくなんてことは断じてありませんよ」
ゆったりとした後部座席でふたりきり、視線を交える。
彼は穏やかに微笑み、私は緊張から視線を泳がせてしまった。
こんな車に乗ったこともなければ、大社長と食事をした経験もない。
サンプリングマリッジが始まって三日目。
たった三日なのに、永井さんは見たことのない新しい世界へ連れ出してくれるようだ。
「お足もとにお気を付け下さいませ」
十分ほど走ったところで静かに車が停まり、九条さんが私を降ろしている間に、永井さんは自分で降りてしまった。