寵姫志願!? ワケあって腹黒皇子に買われたら、溺愛されました
「ひと月はみっちり下働きをしてもらうよ。特別にラリサの下につけてやるから、色気ってもんを学ぶんだね」
「ラリサ?」
「うちで一番人気の娘だよ。ハクゥの真珠姫って呼ばれていて、この街で知らない男はいない。ほら、そこの右の部屋にいるから挨拶しといで。ちょうど起きてくる時間だ」

リディアはザンナに示された部屋の前まで歩いていき、重そうな木の扉をノックした。薄っぺらい引戸しかついていない周りの部屋と比べると、ずいぶんと上等そうだった。
返事がないので、もう一度ノックをする。
「は〜い。開いてるから、どうぞ」
鈴の音のような清らかな声だった。
「あの、新入りのリディアです。失礼します」

リディアはそっと扉を開けて、部屋の中に入った。そう広くはないが清潔な室内に、ベッドと机と大きな衣装箪笥。立派な化粧台もある。ベッドがひとつしかないことから、ひとり部屋なのだと想像がついた。
娼婦の一般的な私生活がどのようなものなのかリディアにはわからないが、少なくとも自分の実家よりは豪勢だった。

(一番人気になれば、こんな綺麗な部屋で暮らすことができるのね。うん、やっぱり悪くない決断だったわ)
< 24 / 26 >

この作品をシェア

pagetop