寵姫志願!? ワケあって腹黒皇子に買われたら、溺愛されました
(あ、あれ? マイアに似ていると感じたのは気のせいだった?)
呆然とするリディアをよそに、ラリサはベッドから起き上がると、バサリと夜着を脱ぎ捨て、生まれたままの姿でスタスタと衣装箪笥のほうへ歩いていく。

(わ、わわわ)
リディアは思わずラリサの体から目を逸らした。顔に似合わず驚くほど豊満な胸に、細く引き締まったウエスト、大きすぎず小さすぎない肉感的なお尻、スラリと伸びた足。
体はリディアの想像していた妖艶な美女そのものだった。純真無垢な少女の面影を残す顔立ちとのギャップがやけに色っぽく、同性のリディアですらドキドキしてしまう。

「ほらっ。教えることなんてないって言ったでしょ。さっさと出ていって。下っ端の部屋は一番奥の家畜小屋みたいなとこよ。売れなくて暇を持てあましてる子たちがたくさんいるから、仕事はその子らに聞いて」
ラリサは虫を追い払うようにしっしっと手を振り、リディアに出ていくよう示した。

(この顔にこのスタイル……加えてこの性格。やっぱり一番人気になろうったって、そう簡単にはいかないのかしら?)
いくら教えてもらっても、ラリサの強烈な個性はそうそう真似できるものじゃなさそうだ。
 
ラリサが家畜小屋といった大部屋はすぐにわかった。リディアはノックをしてから、おそるおそる部屋を覗く。
ラリサの部屋とは異なり、床にいくつもの布団が並べられ少々窮屈そうだが、真っ白なシーツは清潔そうで、リディアが想像していたよりはずっとよさそうな環境だった。
部屋には四人の女たちがいて、身支度をしている最中だった。ザンナ、ラリサと立て続けに癖の強い女たちに遭遇してしまったため、リディアはすっかり警戒していたが、彼女らは明るく、リディアにも優しかった。

「いくつ? どこの出身?」
「女将さんはとっても厳しいわよ。もう会った?」
次々と質問が投げかけられ、おしゃべりに花が咲く。

(よかった、なんとかやっていけそうだわ)
こうして、リディアの娼婦としての生活が始まったのだった。
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