寵姫志願!? ワケあって腹黒皇子に買われたら、溺愛されました
「じゃあ、誰のところに嫁に行くんだ?」
ルークに問われてリディアはしばし考え込んだ。ここは小さな村だ。縁談相手の人となりはよくわかっている。カイネ以外はみな、気のいい優しい青年ばかりだ。
(だけど、正直言って全然ピンとこないのよね。だいたい、今までマイア、マイアとうるさかったくせに、舞う姿が意外と女らしくてよかったから……なんて、馬鹿にしてるとしか思えないわ)
「結婚なんてせずに、私も手に職をつけて働くってのはどうかしら?」

ピンとこない相手と結婚するよりは、そちらのほうがずっといいような気がする。リディアは本気で言っているのに、ルークは不思議そうな顔をした。

「だから、女の仕事は結婚して子を産むことだろ? なにを言ってるんだ、リディアは」
そして、あきれたように笑った。
「……そうね。冗談よ」
ルークはわかってくれない。ましてや父親も母親も……村のみんなはリディアの抱えるこの思いに気がつきもしないだろう。
(あーあ。なんで、女に生まれちゃったんだろう。男なら勉強をがんばれば、仕事を選ぶことだってできるのに。女なんてつまらないわ)
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