一夜の。
俺が力を弱めると
有馬ちゃんは 俺を突き飛ばし 走って出て行ってしまった。
その振り向きざまに 水滴が俺の皮膚についた。
泣いてるんだ。俺のせいで。
俺だって不安だ。親父が仕組んだ話なのは分かったが 本当に有馬ちゃんは
今野の事が好きなのか?
たしかに顔もいいし 俺より大人だし。
今日会った感じだと 常に同じ目線で話を聞くし 物腰が柔らかな印象。
あれはモテるだろ。
自分で言うのも何だが 俺だってモテる。
けどそんなんじゃなくて、
誠実さとか 品の良さとか いろんなものが俺には足りてない。
張り合う気も起きない。
「あんな完璧な人間には勝てねぇよ。」
俺は親父のいる、実家に車を走らせた。