一夜の。
「少し遠回りしていい?ここ、乗って。」
社長は助手席のドアを開けた。
私は頷くことしかできない。
「有馬ちゃん。無理しないでよ。
忘れ物したから会社戻ってきたけど 俺が戻ってこなかったら 有馬ちゃん会社に泊まり込みでもするつもりだったの?」
そんな事考えてもいなかった。
社長を待つ理由をずっと考えていたけど
会いたい以外の理由なんて見つからない。
「俺の事 好きになった。とか?」
好き。自分でも気づかないうちに 社長のことを好きになっていた。
けど 今野社長を裏切ったら それは同時に紹介してくれた会長も裏切ることになる。
好き。なんて言えない。
私は今野社長とお付き合いをするのだから。