一夜の。
有馬ちゃんの目から涙が静かに落ちた。
好きな人と繋がっているはずなのに、
自分は好きなのに、相手にとって自分は息抜き程度の存在なんて。
そんな事を自分の口から発するのが、どんなに辛い事なのか。
計り知れないくらい勇気を出して言ってくれてるんだろう。
「結局、答えは出したの?」
有馬ちゃんは涙をすくい上げるように
拭きながら、首を立てに振った。
「彼とは別れました。」
「相手は納得してくれたの?」
「えぇ。彼も大人ですので、引き際は意外なくらいスッキリしたものになりました。」