一夜の。


「まだ1週間しか経ってないなんて。」

社長がいたくなれば 社長室はひどく静かで 寂しい。


その夜。私が乗り降りする電車の駅の近くに、見たことのある方。


「会長!」


それは社長のお父様であるお方で 私をこの会社の一員にしてくれた人。


私はもともと、この人に仕える予定だったが 倒れ 予定より早く今の社長が後を継いだ。


結果 今の社長の秘書として働くことになったのだが 会長は私の恩人だ。


「やぁ。有馬さん。久しぶりだね。

今日は少し話があってね、家まで送ろうか。

話は車の中でしよう。」


駅の階段の下に 高級車が一台と 運転手さんが待機していた。


「会社にいらしてくれれば よかったのに。」


「いや すぐに済む話だから。」


< 95 / 161 >

この作品をシェア

pagetop