カノジョの彼の、冷めたキス


我儘な気持ちに支配されそうになったあたしの耳に、渡瀬くんが掠れた声で囁いた。


「俺んち来る?」

顔を上げたら、渡瀬くんが照れ臭そうに目を伏せた。

全身が一気に熱を帯びて熱くなって、胸が幸せな高揚感で充たされる。

頭の中がふわふわとしてしまって、そのときの自分がどんな行動をとったのか正直あまり自覚がない。

だけどたぶん、夢見心地で真っ赤になって、彼の言葉に小さく頷いたんだと思う。

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