カノジョの彼の、冷めたキス


「あのペアカップ、親戚の結婚式でもらった引き出物」

「え……?」

「やっぱり、元カノと使ってたペアカップだっていう思い込みの激しい勘違いしてたんだ?」

腕の中で動きを止めたあたしの耳に、渡瀬くんが笑い声とともに息を吹きかける。

まさか、あたしの勘違いだったなんて。

「趣味よかったんだね。前の彼女さん」なんて、嫉妬丸出しで口にした自分の言葉が恥ずかしい。


「だ、って……」

勢いよく振り向いたら、渡瀬くんが優しい目をしてあたしを見つめながらからかうように笑った。


「泣いてんの?」

渡瀬くんの手が頬に触れて、瞼を濡らした涙を拭う。


「可愛ーな、お前」

意地悪くささやいてから、渡瀬くんはあたしにキスをした。


「着替えてこいよ」

何度か唇を重ね合わせたあと、渡瀬くんがあたしを離す。

頬の火照りを感じながら、着替えの服をきつくだきしめる。



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