カノジョの彼の、冷めたキス




社員旅行を2週間後に控えた木曜日。

総務のそばを通ったら、ちょっと相談があると島谷さんに引き止められた。

ちょうどランチに行くところだったから、彼女を誘って外に出る。

会社の近くのパスタ屋さんに入って腰を落ち着けると、島谷さんが周りをちょっと確認してから話し始めた。


「社員旅行の部屋割のことなんだけどね、斉木さんの部屋に皆藤さんを入れさせてもらってもいいかな?」

「皆藤さん?」

その名前に、無意識に身体が反応してしまってドキリとした。


「あれ?斉木さんて皆藤さんとあんまり仲良くなかったっけ?」

あたしが不自然に反応したからか、島谷さんが不思議そうに首をかしげる。


「いや、可もなく不可もなくだよ」

「だよね、よかった」

慌ててそう返したら、島谷さんが笑った。



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