カノジョの彼の、冷めたキス


家に帰って簡単に食事を済ませてお風呂に入る。

濡れた髪をタオルで拭きながらリビングに出てきたら、ソファーの前のテーブルに置いたスマホが鳴っていた。

随分前から鳴っていたのに気付かなかったのか、スマホを拾い上げた瞬間に着信が切れる。

履歴を見ると渡瀬くんからで、時間を空けて2回続けて電話がかかってきていた。

急用でもあったのかな。

不思議に思ってあたしの方から掛け直して見ると、着信を鳴らして数秒で渡瀬くんが電話に出た。


「あ、渡瀬くん?何度かかけてくれたのにごめん。お風呂入ってた」

「もう寝てんのかなーと思った」

「起きてるよ。どうしたの?」

「俺、今帰ってるとこ」

渡瀬くんの言葉に時計を見ると、もう11時過ぎだった。


「お疲れさま。遅くまで残ってたんだね。忙しかったの?」

「うん、まぁ」

心配して訊ねたら、渡瀬くんからなんとなく気のない返事が返ってくる。

忙しいとは言ってたけど、こんなに遅くなったら疲れるよね。


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