カノジョの彼の、冷めたキス


「ありがとう。疲れてるのに会いに来てくれて」

渡瀬くんの首に腕を回しながら顔を上げる。

にこりと笑いかけようとしたら、渡瀬くんがとても不安そうな目であたしを見下ろしていた。

その表情を見た途端に、彼への愛おしさがこみ上げてくる。

もし渡瀬くんが、あたしからの信頼を得られるかどうか少しでも心配してくれていたのだとしたら……

その気持ちはすごく嬉しい。


「あたしも渡瀬くんしかない。大好きだよ」

そっと渡瀬くんの頬に手のひらをのせると、少し背伸びをしてあたしからキスをする。

外から帰ってきたばかりの渡瀬くんの唇はひんやりとしていて、お風呂上がりのあたしにはその冷たさが心地よかった。

同時にふわりと香ってくるアルコールの匂いに、あたしもほんのり酔いそうになる。

このままずっとこうしていたい気持ちもあるけど、玄関先だし、週末まではまだ遠い。

誘惑に負けそうになるのを堪えて、唇を離すのと同時に渡瀬くんから離れた。


「明日も仕事だし、早く寝たほうがいいよね?とりあえずお風呂入ってくる?」


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