カノジョの彼の、冷めたキス



そうしたら、渡瀬くんが弾かれたみたいにあたしをぎゅっと抱きしめてきた。


「行かないの?」

「行くよ」

意地悪く訊ねると、渡瀬くんがあたしを抱きしめたままふてくされた声で答える。

その反応がまた愛おしくて、彼の腕の中で笑みを堪えることができなかった。


「週末はもっとゆっくり泊まりに来てね」

「ん」

腕の中から見上げたあたしに、渡瀬くんが小さく頷く。

あたし達はそのまま、どちらからともなく唇を合わせた。


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