カノジョの彼の、冷めたキス
よく行くカフェでアイスラテとサンドイッチのランチを済ませると、そこでしばらくのんびりしてから会社へ戻った。
会社の入り口付近まで戻ってきたとき、一台の車が入り口の目の前に停車した。
あまり見慣れない高級車だと思ったら、その後部座席から渡瀬くんが降りてきた。
驚いて二度見したけど、やっぱり渡瀬くんだ。
続いてすぐに皆藤さんが降りてきて、思わず進めていた歩が止まる。
目を見開いたまま立ち尽くしていると、渡瀬くんが開いたままの後部座席のドアを閉めた。
それから、皆藤さんと並んで助手席の誰かに一礼をする。
そこ一連の動きを見て、昼休み前に渡瀬くんが出て行ったのは、副社長と仕事があったからなのだと気が付いた。
皆藤さんも同行して、一緒に仕事をしてきたんだ……
複雑な気持ちで立ち尽くしていると、後ろからぽんと肩を叩かれた。
「斉木さん?どうしたの、こんなとこでぼーっとして。会社、戻らないの?」
振り返ると、コンビニ袋を持った高垣さんが不思議そうに首を傾げていた。