カノジョの彼の、冷めたキス
「ごめん、待たせすぎた?」
「ぜ、全然。ほら、見てた番組だってちょうど今終わったし」
「そう?ずっと背中から、早く構って欲しいオーラ出てたけどな」
「え?」
思わず背中に手を回すと、渡瀬くんがニヤニヤしながら椅子から立ち上がった。
ソファーまで歩いてきて隣に座った渡瀬くんが、あたしの腰に腕を回して引き寄せる。
「今から朝までずーっと穂花に構えるけど。これからどうする?」
渡瀬くんがあたしの耳元で揶揄うようにささやく。
意地悪なそのささやきに、身体全体が熱くなるのを抑えきれなかった。
ドキドキしながらも、今にも耳にくっつきそうな渡瀬くんの唇を手のひらで押しやる。
「ど、どうって……明日も普通に仕事だし。渡瀬くん、最近忙しいし。あまり遅くならないうちに寝なきゃ」
「それ、冗談?全然おもしろくないけど」
不満顔でそう言って、渡瀬くんがあたしの手首をつかむ。