カノジョの彼の、冷めたキス


「斉木さん、今日は帰んの?」

「あ、うん。今日はもう仕事が片付いたので……」

「ふーん。俺も今日はもう帰ろっかな」

そう言いながら、渡瀬くんがパタンとノートパソコンを閉じる。


「いつも忙しそうだし、いいんじゃないかな。じゃぁ、お疲れ……」

「斉木さんて、一人暮らしだっけ?」

そそくさと立ち去ろうとしていたら、手早く帰宅の準備を整えた渡瀬くんが鞄を持ちながら立ち上がった。


「そう、だけど……」

「俺も。いつも晩メシどうしてんの?」

振り向きながら答えたら、渡瀬くんが会話を続けながらあたしを促すようにして歩き出す。


「早く帰った日とか週末は作るかな」

「料理できるんだ?」

「簡単なのなら。でもひとり分作るのって結構面倒で、週の半分くらいはお惣菜とかお弁当」

「あー、わかる。俺も最初は自炊試みたけど続かなかった」



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