カノジョの彼の、冷めたキス




「えーっと。それはどういう意味でしょうか……」

今受けた説明のせいで思考が回らなくなったあたしに、ホテルのフロントの女性が穏やかに微笑みかけてくる。


「ですから、ダブルのお部屋に2名様のご宿泊でよろしいでしょうか?と」

「ダブル……シングル2部屋の間違いじゃないですか?」

「いえ。こちらでは、斉木様のお名前で、ダブルのお部屋を2名様のご利用と承っておりますが」

そばにあるパソコン画面を確認して、フロントの女性が微笑んでくる。

その笑顔を見つめ返しながら、背中にダラダラと冷や汗が流れた。


「何?なんかトラブル?」

あたしがチェックインに手間取っているのに気付いた渡瀬くんが、ロビーのソファーから立ち上がって歩み寄ってくる。


「いや、その、なんと言いますか……」

フロントのお姉さんの視線を感じて言葉を濁らせる。



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