カノジョの彼の、冷めたキス
「いい。斉木さんに任せて最終確認をしっかりしなかった俺も悪い。他に部屋空いてないか交渉してみる」
渡瀬くんはそう言うと、あたしに代わってフロントへと進み出た。
新人ならともかく、同期にこんなミスのフォローしてもらうなんて。
申し訳なさすぎて、うなだれ気味に渡瀬くんのあとをついていく。
「すみません。こちらが予約のときに間違えていたようです。今からシングル2部屋に変更してもらうことはできますか」
「少々お待ちください」
フロントのお姉さんが、パソコン画面をタッチしながら空室状況を調べてくれる。
それから数分後に、申し訳なさそうに眉根を寄せた。
「お調べしてみたのですが、本日はシングルのお部屋は全室ご予約で埋まっておりまして……ご用意できるのが、先ほどご案内したダブルのお部屋のみになってしまいます」
「そうですか」