カノジョの彼の、冷めたキス
「寝たふり下手だな」
視線を上げると、すぐ目の前にいる渡瀬くんと目が合った。
驚きのあまり口をパクパクとさせるあたしを見下ろして、彼がからかうように笑う。
「床固そうだからこっちに運んだ。この広さならふたりでも十分寝れるだろ」
「でも、責任とれって……」
「女の子を一晩床に寝かせるほど嫌なヤツじゃないつもりだけど」
「で、も……」
さすがに、同じベッドに寝るのはまずいんじゃ……
まだたっぷりと空いたダブルベッドの左側の空間にちらっと視線を向ける。
それから、そっと渡瀬くんに視線を戻すと、彼がベッドサイドの橙のランプだけが灯る薄暗がりの中で妖しく微笑んだ。
「あー、もしかして。ちゃんとミスの責任取りたい?」
「いや、そういうわけでは……」
床で寝ないで済むならそれはそれでありがたい気もするし。