愛しかた
病院に行くと、彩人が一人ベッドで横になって眠っていた。

布団の下の身体はきっと包帯だらけだろう。

一気に涙が溢れ出て、彩人が起きないよう静かに泣いた。

緊張の糸が切れたからか、これで終わりという安堵のせいか、ここで漸く泣けた。

「ゆ、ら?」
「・・・、ごめん起こして」

ベッドに寄ると、彩人がそっと目を開け瞳だけを動かす。

「泣いてるのか?」

ゆっくりとした動きで涙を拭ってくれる彩人の指。その手首から腕にかけて白い包帯が巻かれている。

それに余計涙がこぼれ落ちる。

「うん、・・・嬉しいの、」

終わったよ。彩人、やっと解放されるんだよ。

「・・・やっと、やっと終われる」

手を握りしめると、彩人の手から力が抜けていくのを感じた。

「・・・」
「彩人、もう終わったよ。彩人の辞表出してきた」
「え?」
「一緒にフランス行こう。向こうで一緒に暮らそう」

そして手に力が戻る。
ぎゅっと、だけどいつもよりも弱い力で、私の手を握り返す。

「・・・ありがと、優星、」
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