【完】☆真実の“愛”―見つけた、愛―1
□沙耶side■




「……悪かった」


謝罪する相馬を見て、沙耶は首をかしげる。


「別に良いよ。私なんかを抱き締めて、楽しいなら」


正直、スタイルが良いとは言えない私。


抱き締めて、彼の得にはならないと思うが、彼の心がそれで救われたと言うのなら、別にあまり私は気にしない。


「……」


何とも言えない表情でこちらを見てくる相馬は、本当に疲れていて。


(……誕生日になると相馬はおかしくなるって、夏翠の言葉はあながち間違いではないらしい)


普段の彼からは、思いもつかない彼の弱い姿。


「……お前には、怖いものとかあるのか?」


「へ?」


いきなり、そう尋ねられて、考えてみる。


怖いもの、怖いもの…………ヤバイ、特にない。


幼い頃からの特別教育のせいで、人間はあまり怖くない私。


「……あ」


悩んだ末、なんとか思い出した苦手なもの。


「なんかあるのか?」


「うん……」


天候は、怖くない。


雷とかは見てて面白いと思うし、雨の日は思いっきり降っているのを見る方が好きだ。


そんな私の苦手なもの。


「いやー、昔から克服できなくてさ」


他のものは、克服してきたのに。


私は頭を掻きながら、ポツリとこぼす。


「……幽霊とか、そっち系がダメ」


「…………は?」


大分、溜めて返してきた相馬。


そんなに予想外の答えだっただろうか。


「……マジで?」


「うん、マジで」


ゴ〇ブリとかよりも、1番、そっちの方が怖い。


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