華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
目を輝かせるエトワルくんの話を聞いて、胸の奥から暖かいものが込み上げてくる。
セイディーレは一見人情味がないように見えるけれど、きっと逆なんだ。そうでなければ、見ず知らずの農民の男の子を、自ら騎士として育てるなんてことはしないはず。
「やっぱり、本当は情に厚い人なのね……」
なんだか私も嬉しくなり、口元を緩めて呟いた。
不思議そうに小首をかしげるふたりに気づき、「あ、なんでもない」とごまかすと、エトワルくんが私を見つめて言う。
「ルリさんのことも、すごく気にかけてましたよ。『俺がいない間、ルリのことを頼む』って言われましたから」
「愛されてるねぇ~。あのセイディーレ様を夢中にさせることができる人なんていないと思ってた。ハイエナを手なずけるくらいすごいことだよ、ルリ!」
茶化すような例えを交えてアンジェも尊敬の眼差しを向けてくるけれど、私はぎこちなく笑うことしかできなかった。
セイディーレが私のことを気にかけているのは、決して愛しているからじゃない。敵に狙われている姫だからだ。
私も勘違いしそうになってしまうし、ふたりのことも騙しているわけだし、やっぱり心苦しいな……。
セイディーレは一見人情味がないように見えるけれど、きっと逆なんだ。そうでなければ、見ず知らずの農民の男の子を、自ら騎士として育てるなんてことはしないはず。
「やっぱり、本当は情に厚い人なのね……」
なんだか私も嬉しくなり、口元を緩めて呟いた。
不思議そうに小首をかしげるふたりに気づき、「あ、なんでもない」とごまかすと、エトワルくんが私を見つめて言う。
「ルリさんのことも、すごく気にかけてましたよ。『俺がいない間、ルリのことを頼む』って言われましたから」
「愛されてるねぇ~。あのセイディーレ様を夢中にさせることができる人なんていないと思ってた。ハイエナを手なずけるくらいすごいことだよ、ルリ!」
茶化すような例えを交えてアンジェも尊敬の眼差しを向けてくるけれど、私はぎこちなく笑うことしかできなかった。
セイディーレが私のことを気にかけているのは、決して愛しているからじゃない。敵に狙われている姫だからだ。
私も勘違いしそうになってしまうし、ふたりのことも騙しているわけだし、やっぱり心苦しいな……。