華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
ベッドの上に座ったまま眉根を寄せて悩んでいると、コンコンとドアがノックされてドキリとする。

セイディーレだったらどうしよう!?と思いながら、慌てて乱れた髪を整え、「はい!」と返事をした。

ガチャリとドアが開かれる。そこから顔を覗かせたのは、神妙な表情のアンジェだった。


「ルリ、起きた?」

「アンジェ!」


だいぶほっとして笑顔を見せる私だけれど、すぐに彼女のお母さんのことを思い出す。

今ここにいるということは大丈夫だったのだろうか。そうであってほしいと願いつつ、少し遠慮がちに口を開く。


「お母さんどうだっ……」

「ごめんねルリ~~!!」

「へ?」


私とほぼ同時に叫んだアンジェは、悲痛の表情を浮かべてキョトンとする私に駆け寄ってくる。


「セイディーレ様から聞いた。昨日、あの男が変なもの持ってきたんだって!? あたしがひとりにさせちゃったからだよね……本当にごめん!!」


ひと思いに言うと、彼女は深々と頭を下げた。

そっか、セイディーレ話したんだ。ということは、きっとエトワルくんも聞いたよね。

私はぶんぶんと首を横に振る。

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