華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
6─情愛─

悪魔の正体やいかに


ふわふわと意識が浮上してきて、重い瞼をゆっくり開いた。横を向いた状態で伸ばした手は、真っ白なシーツの上にある。

寝返りを打とうとすると、腰は窮屈だしスカートは重いし、とても動きづらい。

あぁそうか、私着替えもせずに寝ちゃったんだっけ。セイディーレに頭撫でられて、抱きしめられて、キスされて…………って!!

昨夜の密事をすべて思い出し、ガバッと上体を起こした。頭が少しくらっとするけれど、他はなんともない、と思う。

誰もいない部屋とぬくもりが消えている隣を見て、サーッと血の気が引き、両手で頭を抱えた。


「わ、たし……なんて破廉恥なことを~……!」


いくら媚薬を飲んだからといえ、告白した上に彼を誘うような言動をするなんて。

冷静になってみると、やってしまった感でいっぱいだ。穴を掘って入りたい!

でも、セイディーレが私なんかにキスをするとは思わなかった。あんな、とろけるような甘くて優しいキスを、何度も……。

口づけの感覚を思い返すと、青ざめた顔に熱が戻ってきて、薬の効き目はとっくに切れているはずなのにまたドキドキしてくる。

ど、どうしよう。顔を合わせるのがもんのすっごく気まずいんですけど……。

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