華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
「ありがとう。ルリが行けって言ってくれなかったら、たぶん後悔してたと思う」


改まってお礼を言うアンジェに、私は微笑んで小さく首を振った。

そうして少し話をしたあと、「朝食できてるから、いつでもどうぞ」と声をかけて部屋を出ていこうとするアンジェを呼び止める。下へ降りればわかることだけど、一応聞いておきたい。


「ねぇ、あの……セイディーレは?」

「居間にいるよ。今日は巡回には出ないって」

「そ、そう」


あぁ、やっぱりいらっしゃるのね……。どんな顔して会えばいいのよ~。

また頭を抱えて唸る私を、アンジェは怪訝そうに見ているのだった。


いつまでも部屋から出ないわけにもいかないので居間に向かい、そーっとドアを開けて中を覗くと、昨日と同じように新聞を読んでいるセイディーレがいる。

その姿を見た途端、心拍数が急上昇。心臓を押さえてドアに掴まっている私に気づいたアンジェに、「なにやってるの?」とつっこまれ、ようやく中へ足を踏み入れた。

そろりそろりと昨日と同じ席に近づき、なんとか平静を心がけて挨拶をする。


「お、おはよう」

「あぁ」


彼は新聞から目線を移すことなく、短く返した。

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