華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
ぐっと手を握り、迷いなく言い切った。

セイディーレは、その綺麗な瞳で私を見つめる。セアリエの険しかった表情も次第に戻り、私から目を逸らすとため息を吐き出した。


「……姫様も、アドルク陛下も閣下を信頼している以上、私にはどうすることもできませんね。先ほど姫様がおっしゃった通り、私が申し上げたことは、ただの推測にしかすぎませんし」


刺々しかった口調も平静になってきて、セアリエは真剣な眼差しをセイディーレに向ける。


「ただ、どうしても確かめたかったのです。あなたが姫様の護衛に相応しいかどうかを」


そう言うと彼は腰を上げ、「今さらですが、数々の無礼な発言をお許しください」と頭を下げた。

会談のときからセアリエがセイディーレに対して挑発的だったのは、こんな事情からだったのね。

大丈夫、セイディーレは私を傷つけるようなことは絶対にしない。

誰を敵に回そうと、私はずっと彼の味方だ。




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