華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
私たちは、抑えても足掻いても、恋という深い海に落ちてしまったのだ。ならば、もうそこで溺れるしかない。

私はドレスから手を離し、セイディーレの頬にそっと触れる。


「……今だけ、溺れていて」


私に、愛される幸せを味わわせて──。

そのひとことが引き金になったように、頬に当てた手を取られると、彼の熱っぽい表情が急速に近づき、激しく唇を奪われた。

ドレスを脱がされ、ベッドに優しく押し倒されて……それからはもう、与えられる初めての感覚に翻弄されるだけだった。

唇で、手で、素肌をなぞられるたびに全身が甘く痺れる。

自分でも触ったことがないような場所をじっくりと弄られて、羞恥心と恍惚感で何度も意識が吹っ飛びそうになった。

逞しく美しい彫刻のようなセイディーレの身体に組み敷かれ、抑えることができない声を漏らす。

ひとつに繋がるとき、裂けるような痛みで一際大きな声を上げてしまうと、セイディーレが少し心配そうな顔を見せる。


「痛いか」

「ん……っ、そのほうが、いい」


この愛しい痛みを、ずっと忘れたくないから。愛し合ったという記憶を、身体に刻み込んでほしい。

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