華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
そんなマゾヒスティックなことを思う私を、セイディーレは熱い眼差しで見つめ、指を絡ませる。

浅い呼吸をしながら、ゆっくりと、自分の奥深くに彼が入ってくるのを感じていると、甘く掠れた声が鼓膜を揺する。


「愛してる、リルーナ」


欲しかった言葉とともに抱きしめられた瞬間、熱いものが込み上げ、こめかみに一粒の涙が伝った。

身体を重ねることは、こんなにも愛情と快感が得られることで。想いが重なることは、こんなに幸せで、切ないものなんだね。

それを全身で感じることができている今、最高に幸せだよ。

隙間なくくっついて、抱きしめてくれる彼の首にしっかりと腕を回し、「私も」と囁いた。


どれくらいの時間、そうしていたかわからない。求め合うままに、吐息を混じらせ、シーツを乱して、私たちは密やかに愛し合った。

人生で一番、濃密なひと時だった。ふたりしか知らないこの密事を、私は一生忘れることはないだろう。




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