華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
危険な力を持つのは、リルーナではなく俺。そう思わせれば、敵の狙いは俺になり、少しは彼女への危険がなくなるはず。

そう考えてのアイデアだったが、当然父の表情は険しくなり、難航を示す。


「お前は将来国王になるべき人間だぞ。そんな噂を流すだなんてことは許されない」

「僕の代わりは、ジルスターに頼みましょう」


わずかに笑みを見せて言うと、父は面食らったように目を丸くした。

三歳下の弟のジルスターは、おちゃらけたところがあるものの、意外としっかりしていて頼もしく思うときが多々ある。

それに、とても兄想いの可愛いやつだ。きっと、彼なら俺の頼みを聞いてくれるだろうし、第一王子としてもやっていけるだろう。

そうすれば俺は、平民になっても、存在を抹消されても、はたまた悪魔と称されても問題ない。

型破りな俺の提案に、度肝を抜かれたであろう父は言葉が出ないようだ。そして陛下は、信じられないというような顔で問いかける。


「……君は、リルーナのために王位を失ってもいいと言うのか?」


その質問の答えは、迷うことはない。


「構いません。それで彼女を守ることができるなら」

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