華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
父が言っていた通り、俺が第一王子に戻ると発表しても、国民からの反発は意外なほどなかった。驚きは半端ではなかったようだが。

むしろ、俺を煙たがってリルーナに悪さをしようとしたラシュテのような者たちは、本来の姿を知って萎縮したようで、以前よりおとなしくなった。

それから今までの一年間で、やっと失っていた王太子としての品位も身についたと感じている。

──あとは、愛しい人を迎えに行くだけだ。


なんとありがたいことに、ハーメイデン側には、第一王子も婚約者もフレイヴのままで通しているという。

父とアドルク陛下とで話し合い、俺の気持ちを汲んでそうしたのだそうだが、よく政務に支障をきたさなかったなと感心してしまった。

すべてが元通りになりつつあり、リルーナと再び結ばれる日も訪れようとしている。婚約式を行う今日は、その第一歩だ。

ハーメイデンに向かうまでの間、柄にもなく緊張して落ち着かなかった。

リルーナの気持ちは変わっていないだろうか。セイディーレではない俺の姿を見ても、引いたりしないだろうか。

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