華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
「ん……っ、待って、シャワーを……」

「あとで一緒に浴びればいい」

「いっ、一緒に!?」


当然のように返され、ギョッとする私はロマンチックのかけらもないすっとんきょうな声を上げた。

シャワーの雨に濡れながらお互いの身体を洗うという、未知なシーンを妄想してはっとする。

そうか、きっとこれなのね……姉様が言っていた、“新しい扉を開く”というのは!

どうでもいいことを考えているうちに、くるりと後ろを向かされた。慣れた手つきでドレスの編み上げ紐を外しながら、フレイヴはあまり余裕がなさそうな声で言う。


「もう我慢したくないんだよ。お前は俺のものだって、早く感じさせてくれ」


焦燥が滲むその言葉に、胸がきゅうっと締めつけられる。

フレイヴは、十三年も前からいろいろなことを我慢し続けていたんだものね。そう思うと、彼の気持ちも早く受け止めてあげたい。

ドレスを脱がされ、白いフリルと赤いリボンがあしらわれた下着姿になった私は、フレイヴの首に腕を回し、自分から唇を重ねた。

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