華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
国王であるお父様も、私より姉様のほうをよく可愛がっていたように思う。性格もおとなしめで、幼い頃からどこか遠慮がちだった私は、あまり可愛げがなかったのかもしれない。

籠に入れた鳥のように私を城に閉じ込めていたのは、もしかしたら王族らしくない地味な娘を隠しておきたかったからではないか……と、以前はずっと疑っていたほどだ。

それでも、ソルレがこうやって事あるごとに私を褒めてくれるから、それがたとえお世辞でも、ほんの少しの自信をもらえるのだ。

彼女に微笑み返して、ハーブティーを味わっていると、ソルレはなんだかソワソワし出す。


「婚約されるフレイヴ様は、どんなお方なんでしょうね。私もわくわくしてしまいます!」


頬を紅潮させ、胸に手をあてて言う彼女は、本当に楽しみにしているみたい。

フレイヴ王太子は、とても勇敢で正義感ある好青年だと聞いている。私も、自分の結婚相手なのだから、もちろんどんな人か気になるけれど……。


「そーね、乱暴な人じゃなければいいかな。どんな人でも」


軽く笑って大雑把すぎることを言うと、ソルレは何かに気づいたように、ふっと真顔に戻る。


「姫様……もしかして、まだあの方をお想いなのですか?」

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