華麗なる最高指揮官の甘やか婚約事情
「私のために、リルーナがそこまでするとは夢にも思わなかった。私はお前を、守るためとはいえ、城に閉じ込めていただけだったというのに」


それを聞いて、もしかしたら私たちはお互いに誤解していたのかもしれない、とふと思った。

私は、危険から守るというのは口実で、ただ地味な私を隠しておきたいために城から出さなかったのではないか、とお父様を疑っていて。

お父様は、自分を助けようとするほど娘に好かれてはいない、と感じていたのかもしれない。

本当は、お互いを大切に想い合っていたのに。

そんな気がして、私もきちんと本心を伝えることにした。


「……そこまでするわよ。だって、たったひとりの父親なんだから」


ようやく私と目を合わせたお父様に微笑んでみせると、彼の表情もふっとほころぶ。


「お前のような娘を持って、私は幸せ者だ」


滅多に表さない優しい声色で、微笑みで、そんなことを呟くから、ふいに鼻の奥がツンとした。

わかりづらいけれど、きっとお父様はちゃんと私のことも愛してくれているのだろう。そう感じることができて嬉しいのに、私の口は照れ隠しでこんなことを言ってしまう。

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