アフタースクールラヴストーリー
副崎の捜索が始まってから、小一時間程が過ぎた。
未だ副崎は行方不明で、警察も動いているそうだが音沙汰はない。
僕は結局あの後何もすることが出来ず、もどかしさと自己嫌悪に浸り続けている。
ふと、会議室のドアがノックされる。
さっきから僕の様子を見に、何人かの先生が来ているが、ノックする人は初めてだ。
「ど、どうぞ……」
ゆっくりとドアが開く。
入ってきたのは、山川先生だった。
「失礼しますね」
山川先生はコーヒーを片手に、僕の隣にあった椅子に腰を下ろす。
「いやあ、大変なことになりましたね。」
穏やかな口調で、山川先生は切り出す。
「は、はい」
「いつだったか久田先生は人気がありそうって話したことがあるけれど、まさか実際に生徒を捕まえてしまうなんてね。隅に置けない人だわ。うふふ」
愉快そうな山川先生。
こんな状況なのに、この人は普段と全く変わらない。
「それで? 副崎さんから告白とかはされたの?」
「へ?」
まるで何事も起こってないかの如く軽い感じで質問され、不意を突かれて変な声が出てしまった。
「えっと……」
真面目に答えて良い質問なのか分からず、僕はたじろぐ。
だが山川先生には、僕のこの様子だけで悟られてしまったようだ。
「あらごめんなさい。冗談のつもりで聞いたのだけど、今の反応を見ると本当に告白されたみたいね」
いや、普通この場で冗談言わないだろ。
一体この人は何を考えているんだ。
「副崎さんも中々大胆なことするわね。これも若さが成せる業なのかしら」
山川先生はコーヒーカップに口を付ける。
僕は返す言葉がなく、困惑する一方だ。