アフタースクールラヴストーリー
「……ザキ……」
薄れゆく意識の中で、何か聞こえてくる。
「……エザキ……、ソエザキ……」
誰かが私を呼ぶ声だ。
誰の声だろう。
「副崎!」
耳をすますと、ぼんやりと誰の声かが分かる。
久田先生だ。
そっか、私を捜しに来てくれたんだ。
でもごめんなさい。
私はこれ以上、貴方と一緒にいることなんてできない。
また貴方に迷惑をかけるわけにはいかないの。
「副崎!」
先生の声が大きくなる。
近づいてきている証拠だ。
だがその声は、私の耳には届かなくなってきた。
私の意識が、海へと溶けていく。
「さよなら、先生」
私は目を静かに閉じる。
その時、自分の身体が風に乗せられたかのように持ち上がった。
「副崎! 副崎!」
私は目の前に、久田先生がいるのを感じた。
意識はほとんどなかったが、私は咄嗟に久田先生の身体の一部を握った。
そうしてそのまま、私は意識を失った。