アフタースクールラヴストーリー

授業一日目は瞬く間に過ぎていき、あっという間に放課後を迎えた。
授業の最中に多少のミスはあったが、全体としてはまずまずのスタートが切れたと思う。
それにしても、一日に四時間の授業をこなすとかなり疲れる。
僕は職員室の台所でコーヒーを淹れ、一服することにした。

「あら、私も頂いていいかしら?」

コーヒーを入れる準備をしていると、山川先生も台所に入ってきた。

「ええ。ちょうど今淹れるところです」

僕は二人分のお湯をやかんに入れ、火をかける。

「どうでした? 赴任してきてから初日の授業は」
「ぼちぼちですね。躓く時もはありましたけど、最低限はできたと思います」
「それなら良かったわね。私も今日は緊張しちゃった。うふふ」

口元に手を当てて笑う山川先生。
こうした一つ一つの仕草が、山川先生の上品さと穏やかさを引き出している。

「山川先生は去年、何年生を担当していらっしゃったんですか?」
「二年生よ。だから今日の授業でも知っている子がいて、助かる部分も多かったわ」
「あ、そうなんですね。やっぱり二年続けて見る子は、思い入れも違ってきますよね」
「そうねえ。私の場合、一年生の頃から見ている子もいるから、そうした子はより強い思い入れがあるわね」
「羨ましいですね。三年間同じ生徒を見られるというのは。僕もいつかそうやって、一人の生徒の入学から卒業までを見届けたいです」
「教師を続けていればどこかでできるわよ。私なんてこれが何回目か分かりませんもの。あ、お湯が沸いたみたいね」


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