アフタースクールラヴストーリー
山川先生は火を止め、用意されたカップにお湯を注ごうとする。
「いいですよ山川先生。そんなのは僕がやるので」
「大丈夫。こういうことはお互いに気付いた方がやればいいの」
「ですが……」
申し訳なさそうな顔をする僕に、山川先生は注ぎ終わったやかんを元の位置に戻して言った。
「そんなに気を遣わなくてもいいの。学校という職場では、どの職員も皆平等なのだから。年齢も立場も関係ない。それにこの前手伝ってもらったし、これくらいのことはさせて」
「は、はい。ありがとうございます」
コーヒーが出来上がり、僕は山川先生に「いただきます」と言ってから口に運ぶ。
すると台所の外から、誰かの声が聞こえてきた。
「山川先生いますか?」
台所を出て確認すると、山川先生を呼んでいたのは副﨑美奈だった。山川先生はコーヒーカップを台所に置き、副崎の元へと歩いていく。
「副崎さん」
「あ、山川先生。頼まれていたプリントを持ってきました」
「ありがとう。ごめんなさいねわざわざ。頂くわ」
「はい、どうぞ」
副崎は持っていたプリントの束を山川先生に渡す。
その後奥にいた僕を見つけると、早足でこちらに寄ってきた。