副社長はウブな秘書を可愛がりたくてたまらない
「三浦さん好みだったから隣で話してたんだけど、あの人出会いを求めに来たというよりは、しきりに副社長を見ては笑いを堪えてたからおかしいと思ってたんだよね。だから幹事の人に聞いたら、そう言ってたわけ」

 思い返すように斜め上を見つめる彼女は、少し不満気に唇を尖らせて鼻で息をつく。

 なるほど。あのとき真希が早々に目をつけていたあの人が、三浦さんだったのね……。彼は、副社長の反応を見て楽しんでたのかな?

「で、その三浦さんがどうしたのよ!?」

 頭の中を順番に整理していると、鼻息を荒くした彼女にさらに急かされた。

「あぁ、その三浦さんが……引越しのときに来てた人事部の担当者だったの」

「えっ! 三浦さんってうちの社員なの!? じゃあまた会えるかもしれないのね! ラッキー!」

「ラッキーって……」

 げんなりと肩を落とす私とは対照的に、彼女はパッと表情を輝かせながら手を打って喜ぶ。

「副社長と三浦さん、二人で食事に行くぐらいには親しいってことでしょ!? 今度紹介して貰おうっと!」

 余計にややこしいことになったような気がして、私の口からは思わず今日一番の長いため息が漏れた。
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