副社長はウブな秘書を可愛がりたくてたまらない
「望月(もちづき) 明日奈。二十六歳、です……」

 突然注がれる複数の視線に耐えられなくなって、それだけ言い終えると、軽く会釈をしてからそっと深呼吸をした。

「じゃあ、せっかくだから席替えする?」

「え-! 早くない?」

「いいじゃん。たくさん話したいし」

 真希の正面に座っていた短髪で体格の良い男性の提案に、場が一気に熱量を増す。

 各々がグラスを持って、「どこにしようかなー」と動き出した。

 えっ!? どうしよう……。これって、私も動いた方がいいんだよね?

 困惑して真希の姿を探すと、彼女はすでに狙いが定まっているのか、一目散にある男性の隣を陣取っていた。

 とてもじゃないけれど、助けてくれそうな気配はない。

「明日奈ちゃん、だよね? 隣いい?」

 グラスを握り締めながら、次々に腰を下ろしていくみんなの姿を視線で追っていると、先ほど席替えを提案した男性がこちらを見つめ、隣で片膝をついて座り込んでいた。
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