副社長はウブな秘書を可愛がりたくてたまらない
 すると一瞬真剣な表情でこちらを見つめた彼。

 な、なに……?

 どきつく胸を服の上からギュッと握りしめると、彼はすぐにまた薄笑みを浮かべた。

「今はまだ、内緒。いつかそのときが来たら話すよ」

 言い終えると、彼は再びフォークを手に取り食事を食べ始める。

 そのときって、一体どういうことだろう……。

 余計に気になったけれど、きっと彼は教えてはくれないだろうと、私も再びフォークを手に取った。

「次の休み、出かけようか」

「えっ? ……お買い物ですか? スーパーなら、私が行ってきます」

 冷蔵庫の中身ももうなにもないし、次の休みと言わず今日にでも行かないとと思っていたばかりだ。

 それに本当にここで生活していくなら、私もそれなりに必要なものを揃えないといけないし。

 頭の中でリストを作りながら、綺麗に熟れた真っ赤なトマトを口に入れた。

「スーパーもいいけど、デートしよう」

 予想もしていなかった言葉に、思わず口に入れたばかりのトマトを噴き出しそうになる。

 咳き込んでしまい苦しそうにしていると、彼は「大丈夫?」とコーヒーを差し出してくれた。

 ……デ、デートだって!?
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