初めてのズル休み
うちの社員がよく使う駅前の居酒屋に入る。
いかにも、という居酒屋で、焼き鳥の匂いと日本酒や焼酎、そしてビールの匂いが入り乱れている。
お座敷の席がちょうど空いていて、主任を真ん中に席に着いた。
男性社員が三人と女性が二人という構成だ。
「瀬崎、どうだ最近」
「ええ、いろいろと配慮くださっているおかげで、練習に打ち込めています」
体育会系の人ってこんな感じなのかな。これまでそんな人と関わることなんてなかったから、それがどんなものなのかはわからないけれど。
お酒がほどよく回って来ると、大概、社員のプライベートな話題に移る。
「それにしてもさ、瀬崎まだ、27、8だろ? それなのに、もう結婚してんだよな」
「本当に?」
まだまだ若者だと思っていたから、驚いてしまった。
「そうか、田中さんはまだ異動して来て間もないから知らないか。そうなんだよ、瀬崎は新婚でもないよな。れっきとした既婚者」
「結婚して何年なの?」
目の前にいる瀬崎君が急にオトナに見えるから不思議だ。
「えっと……、3年くらい、だと思います」
「じゃあ、24、5で結婚したってこと? 男の人にしたら早いね」
私、その頃何をしていただろう。
「男なら一番遊んでいたい年頃だろ? そんなに早く縛られたいと思うなんて、奇特な奴だなぁ」
もう一人の男性社員がしみじみと呟く。
本当に、その意見に同意だ。
皆が一斉に瀬崎君に視線を向ける。