fantasista 2






柊はもはやテレビに釘付けで、あたしのことなんてどうでもいいらしい。

だからあたしは、黙って洗濯物をたたんでいた。

結局、球技大会のことを柊に相談しただけ無駄だった。

柊はあたしのことなんて本気で考えてくれないし、仮に柊が教えてくれたとしても、あたしが柊の技術を体得できるはずがないのだから。






「なぁ……みどり」




甘い声であたしを呼び、手を掴む柊。

そんな柊の手を、力いっぱい振り払っていた。





「あたし、イライラしてるから今日はなし!」



「……は?」



「柊はあたしの球技大会なんて、どうでもいいんだから!」





我ながら大人気ないと思った。

完全な八つ当たりだ。

そして、大人気ないあたしは柊に背を向けて眠りについた。


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