fantasista 2
だが、
「俺、妻と用事があるんだ」
柊がボヤく。
妻と呼ばれてどきんとした。
あたし……柊の妻なんだ。
分かっているけど面と向かって言われると恥ずかしい。
「戸崎選手、二の腕触らせてください」
頰を染めて言う女性に、
「俺、そういうの苦手なんだよな。悪いな」
なんて言い放って、女性の輪からするりと抜け出てきた。
そんな柊をぽかーんと見る。
「あんた、いいの?」
思わず聞くと、
「お前がよくねぇだろ」
柊はまっすぐあたしを見て言う。