365日、いつまでもふたりで
「もう、戻るよ!」



竜くんの体を押してじぶんから離させる。



「続きは夜な」



そっと耳元で話して、あたしよりも先に歩き出す。



「……もう」



内心バクバクいってる心臓を整えるのに必死だ。



「竜くんはなんであんなに余裕なんだろう」



あたしはすぐに顔が赤くなったり、息を整えるのに大変だったりするのに。


──……やっぱり、竜くんは慣れてる。


前にもこうして昼休みに誰かと会っていたりしたのかな。
なんて、考えてもどうしょうもないことを考えて落ち込んでしまう。



「あたしは初めてなのに」



社会人1年目のあたしよりもっと前から社会に出てる竜くんだもん、いろんな経験があるのは当然だけど。
わかっていても、やっぱり寂しいと感じる。



「戻ろう」



緩んだ頬を引き締めるべく〝パンッ〟と頬を叩いて気合を入れる。



「こんな顔じゃなんかあったのかって思われちゃう」



深呼吸をして、ブースに戻るべく歩く。

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