愛され任務発令中!~強引副社長と溺甘オフィス~
「嫁よー! どうか息子を今後も頼む!」

「……っ!?」


足を進めながらも振り返ってしまうと、代表は満面の笑みで両手を大きく振って見送っていた。

「無視しろ。今度こそ本当に間に合わなくなる」

「は、はい」


すぐさま副社長に言われ、代表に向かって小さく頭を下げエントランスへ続くドアを抜けると、オフィスからは大きな歓声が上がった。

それはきっと間違いなく、副社長が笑ったから。

今まで社内では誰も見たことがなかった。常にポーカーフェイスでなにを考えているのかわからなくて。


おまけに自分にも他人にも厳しい人で、社員から恐れられていた。だから彼の笑った顔は私だけの特別なものだったのに。


照れたり笑ったり。そんな意外な一面があってそれがまた堪らなく素敵だってこと、社員みんなにも知られてしまったんだ。
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