愛され任務発令中!~強引副社長と溺甘オフィス~
誰かを本気で好きになれるのは、素敵なことか。でも紗枝の言う通りかも。ずっと誰かを好きになるのが怖くて、恋愛できずにいた私がまた好きになれたんだ。

トラウマさえも吹き飛ばすほど惹かれてしまう人に出会えたのは、幸せなことじゃないのかな。

それが例え、報われない想いだったとしても。


「それに今は昔とは違う。例え菜穂美が失恋したって私がいるじゃない。だから今は芽生えた感情を大切にしてほしいな」

いいのかな、このまま副社長のことを好きになっても。傷ついて後悔しない? でも――。

目の前に座る紗枝はニコニコ顔で私を見据えている。彼女の笑顔を見ていると、好きになってもいいと思わされてしまう。

それに大学時代とは違う。今の私にはなんでも聞いてくれて、そばにいてくれる紗枝がいるのだから。

「ありがとう。……私、自分の気持ちを大切にしたい。副社長のこと、もっと好きになりたい」

素直な気持ちを口にすると、紗枝は何度も首を縦に振った。
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