愛され任務発令中!~強引副社長と溺甘オフィス~
「副社長、失礼します」

「――は? あ、おい!」

サッと彼の額に触れると、予想以上に熱くてびっくりしてしまった。

「副社長、熱があるじゃないですか!」

触っただけでわかる。かなりの高熱だと。

すると副社長は小さく舌打ちした。


「別にこれくらい平気だ。どうしても今日中に終わらせたいんだ」


わかっている、副社長はこういう人だって。誰よりも真面目な人。自分の体調より仕事を優先させてしまう人なんだ。

「俺なら平気だからお前は帰れ。……俺の風邪が移ったと言われては困る」


もしかして副社長、だからずっと早く帰れって言っているの? さっき払い除けたのも自分に私を近づけさせないため?

不器用な彼の優しさに胸が苦しくなる。


だめだ、私……副社長のことが好き。大好き。だからこそ言われるがまま帰るわけにはいかない。なにより私は副社長の秘書だから。


パソコンを起動させようとした副社長の手を掴んだ。すると当然彼は不快そうに私を見上げてくる。

「おい、なんだこの手は」

熱のせいか苛々しているようで、威圧的な態度に一瞬怯みそうになるものの、自分を奮い立たせた。
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