愛され任務発令中!~強引副社長と溺甘オフィス~
一階にたどり着き、到着していたタクシーに乗り込むと副社長は辛そうに背もたれに体重を預けた。

私もそのまま後部座席に乗り込んだ。

「副社長、住所言えますか?」

尋ねると彼はハッとし、運転手に住所を告げる。程なくして発進したタクシー。

以前苦しそうに呼吸を乱している副社長には申し訳ないけれど尋ねた。


「副社長、ご自宅の鍵をお預かりしてもよろしいですか? それと部屋番号も教えてください」

「……鍵は悪い、ジャケットの内ポケットに入っている。それと部屋は三十階の3011号室」

「三十階の3011号室ですね。えっと……鍵の方、失礼します!」


ジャケットの胸ポケットに手を入れる行為は、いかがなものかと思うけど、今はそんなことを言っていられる状況じゃない。

断りを入れ彼の内ポケットの中を探すと、カードが一枚入っていた。


「副社長、カードしかありませんけど……?」

「それが鍵だ」


えっ!? カードが鍵!? でも住んでいるのが三十階って言っていたし、きっと高層マンションなのかもしれない。そうか、鍵がカードなんだ。
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